団塊世代の後期高齢化と中小企業経営者の交代
2025年は、団塊の世代(1947~1949年生まれ)が一斉に75歳を迎え、いわゆる“後期高齢者”の仲間入りを果たす節目の年となっています。この動きは、全国の中小企業にとっても大きな転換点であり、3月決算の企業が6月に株主総会を迎えるタイミングにおいて、多くの経営者が役員を退任し、法人登記の役員変更を行う事例が例年以上に増加している印象を与えています。
◆ 高齢経営者の現状
中小企業庁の「2023年版中小企業白書」によると、代表者の平均年齢は年々上昇しており、2022年時点で60歳以上が過半数(60%以上)、70歳以上も約15%に達しています。特に団塊世代の経営者は、後継者不足に悩みつつも高齢まで現役を続けてきたケースが多く、75歳という年齢を節目に経営から退く動きが加速しているとみられます。
◆ 法人登記の動き
法務省が発表している「法人登記統計(月別・年別)」をみると、例年6月~7月にかけて役員変更登記が集中する傾向がありますが、2024年・2025年の6月期においてはその件数が前年比を上回るペースで推移しています。たとえば東京都・大阪府など主要都市圏の法務局では、2025年6月初週時点で役員変更登記の受付件数が前年比115〜120%程度に上昇しているという速報値も出ています(※一部報道・関係団体調べ)。
◆ 背景にある2つの要因
1. 後継者問題の顕在化:親族承継・従業員承継が進まず、M&Aや第三者承継に舵を切る企業も増えており、それに伴い登記変更が必要。
2. 健康・法的リスク回避:高齢による判断能力の低下を見越して、法的責任からの解放を目的に早期退任するケースも。
◆ 実務への影響
鈴木憲明司法書士事務所では、これまで以上に役員変更登記や事業承継支援の相談が増加しています。とくに6月~8月は相談・依頼を多くいただきますので、当事務所も対応体制の強化を図っています。